社会情勢の変化、それはこの十数年でかなり加速しています。原因はAI、IT化から、諸外国との関係性にまで及びます。
また、昭和・平成から放置されていた少子高齢化の影響が、これから先、長く日本を蝕み続けます。高齢者にとっても若者にとっても苦しい時代です。今回は様々な危機が待ち受ける現代社会を考えてみます。前世代に言えることですが、特に中高年となる男性にとっては、更に厳しい時代が訪れるかも知れません。
大企業さえも安泰でなくなった
日本は諸外国に比べ、変革の速度が遅いことは以前から指摘されていました。例えば日本の企業の土壌は、一つの木々を中心に若葉が多く生い茂っている環境。一方の諸外国は同じくらいの大きさの木々が鎬を削っている環境です。
さて、グローバル化により、既にこの構造に変化が入って久しいです。また、大企業に近い形の運営スタイルの中小企業も、同じく変化を余儀なくされています。単純に昔ほどの生産性が見込めない事、そして個人個人の生産性がITによって高められた今、必要のなくなった業務が多く出て来たこともその要因です。
「一度入社すれば定年まで安定」。それは下の世代の奮闘があればこそでした。体力の減ってきた上の世代はブレーンへと回り、下の世代を手足のように動かしていくことで、それぞれが共存していく形で出来ていたのです。
しかし、今はPCスキルによって、このバランスが大きく崩れています。電話番も社内便もメールシステムで不要となるという物理的な構造から、既存のものを使い、システムを自ら作り出す発想を生むことができるようになったという内因的な構造まで、ITの活躍はこれからも止まる気配を見せません。そんな中で「給料だけ高くて生産性が低い」とされ、そして「ポジションも効率的に収束されて過剰気味」となった今、中高年がリストラ対象になるのは必然の流れでしょう。
参考リンク(墓場ネット)
終身雇用の崩壊と限界、都会と地方
画像転載元(pixabay)
以前は、会社経営が危なくなったらリストラ、という感じでしたが、今は経営が上向きの中での戦略的リストラが叫ばれています。
ここで足切りにされるのは、まずは保守的な人間です。一度会社に入ってしまえば後は定年まで、という考えでは、転職も考えていません。つまり、他の会社でやっていく能力を身に着ける努力を怠っている状態であることが多いです。保守的な人間に加え、会社内で全く使わない、必要のない技術は何一つ学ばない、というタイプの方も危ないです。
ですが、意外とこういう方の比率は大都会より、地方の方が多いのではないかと思います。転職率は都会の方がやはり高いですし、何より都会では他の方の努力が励みとなりやすいこと、および学ぶ環境を圧倒的に得やすいです。
リストラは大企業の地方支部から始まりやすいです。地場系の中小企業は、リストラはどちらかと言えば消極的で、倒産するときはみんなで、というイメージでしたが、この流れも変化していくかも知れません。まだそれが始まっていないのは、単純に転職してくる人がいないからですが、それが整ったとしたら、企業もリストラに前向きになっていくでしょう。
安全に退職できるラインが前倒しに
2020年3月現在、新型コロナウイルスが猛威を振るっています。
逃げ切る、というのは、無事に定年まで生き延びて、そして年金で悠々と、という意味のようです。ただ、個人的に思うのはこれだけではありません。退職の推奨が始まると、よく聞く追い出し部屋や、業務内容の転換へと移ります。つまり、逃げきるとは、こういう退職の推奨や、慣れない業務への転換の対象になる前に念願の定年退職をする、ということも含まれるのではないでしょうか。
この概念でいくと、50代も40代も、すでにこの時代では安全とは言えないでしょう。また、企業人のウェイトが若者や外国人に移り、社内の新陳代謝が盛んになると共に、同世代の中途入社も昔に比べて増えています。
その点で言えば、以前と比べて定年退職まで働ける人の割合はさらに減るのではないでしょうか。営業トップという人ですら、新しい手法を次々に身に着けていけることで初めて、長期間の労働が可能となります。ぽっと出や、一時の勢いで上に上がったまま、という方は少なくなりそうです。
そして話は冒頭に戻るのですが、ここでコロナウイルスによる全国、全世界の不況が重なると、さらに競争は過激になります。主にインバウンドを目的としていた企業の、コロナによる倒産と、そして求人者の増加というものが次第に出て来るのです。
参考リンク
- 嫌がらせ同然の上司による退職勧奨、法的に問題は?(YOMIURI ONLINE)
- 「追い出し部屋」はもう古い! リストラの最新手法(PRESIDENT Omline)
- 2020年、終身雇用「崩壊」で人事混迷の時代が始まる(日経ビジネス)
人手不足は本当か
世に叫ばれる人手不足、しかし実態はいささか怪しい所もあるようです。
人出が足りておらず、求人が出ている分野は限られています。ホワイト職と呼ばれるものは先の通り、ソースの集約化が進められていますので、むしろ人余りです。
社会全体でリストラが続くと、まずは今までの経験を活かせる同じ分野で求職活動を開始する方が多いですが、給与は3/5程度になる人も出て来ます。それでも多くの方がその中で仕事を決めていきますので、やはりあぶれる人が出てくるでしょう。すると、その市場から別の市場へ出ていく方々が出て来ます。
この中に集められるのは、やはりITに馴染めない方、もしくは今までの会社でしか通じないようなスキルが多く、汎用的なスキルを持っていない方々です。そういう方々が限られた職を奪い合う事態が出てくるのです。
逃げ切れない中高年の戦い~まとめ~
雇用の現場は10年ほど前から徐々に目に見える形で変わり始めていましたが、経団連のコメントがなされ、既に近年の春闘もベースアップを目標としない所も目立つなど、その速度は更に加速しています。
今の40代前半までは、まだ反応できる中でその動きが始まっており、いくばくかの覚悟は出来ています。ですが、それ以上の世代となると、会社をリストラされると、一気に生活が変わる可能性があります。転職も未経験という方も多く、新しい環境、業務に慣れるのが難しい方も多いかも知れません。
参考リンク(月間SPA!)
それでも、雇用情勢は中高年にとって、更にシビアになり続けます。これは、どの世代にも言えることですが、いざという時の行動規範を予め持っておく必要があります。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。当記事が何らかの参考になりましたら幸いです。